所信表明演説要旨
鳩山由紀夫首相の所信表明演説の要旨は次の通り。
【はじめに】
総選挙で国民は政権交代を選択した。勝利者は国民一人一人だ。強い意思と熱い期待に応えるべく、国政の変革に取り組む。
【戦後行政の大掃除】
政治と行政に対する国民の信頼回復のため、行政の無駄や因習を改め、政治家が率先して汗をかくことが重要だ。このために、鳩山内閣は、これまでの官僚依存の仕組みを排し、政治主導・国民主導の新しい政治へと180度転換させようとしている。各省庁の政策決定は、大臣、副大臣、大臣政務官からなる「政務三役会議」が担う。
この新たな体制の下、まず行うべきことは「戦後行政の大掃除」で、その一つ目は「組織や事業の大掃除」だ。行政刷新会議は、税金の無駄遣いを徹底して排除する。国家公務員の天下りや渡りのあっせんも全面的に禁止し、労働基本権のあり方を含めて、国家公務員制度の抜本的な改革を進める。
もう一つの「大掃除」は、税金の使い道と予算編成の在り方を徹底的に見直すことだ。国民に見えるかたちで複数年度を視野に入れたトップダウン型の予算編成を行う。ダムや道路、空港や港などの大規模公共事業について、国民にとって本当に必要なものかどうかを、もう一度見極めることからやり直す。
私の政治資金の問題によって、政治への不信を持たれ、国民にご迷惑をおかけしたことを誠に申し訳なく思っている。政治への信頼を取り戻せるよう、捜査に全面的に協力していく。
【いのちを守り、国民生活を第一とした政治】
政治には、弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない。そのことだけは、私の友愛政治の原点として、ここに宣言する。
今後2年間、「国家プロジェクト」として年金記録問題に集中的に取り組む。後期高齢者医療制度は廃止に向けて新たな制度の検討を進める。財源をきちんと確保しながら、子ども手当の創設、高校の実質無償化、奨学金の大幅な拡充などを進めたい。生活保護の母子加算を年内に復活させるとともに、障害者自立支援法の早期の廃止に向け検討を進める
【人間のための経済へ】
国民の生活を犠牲にしても、経済合理性を追求するという発想はもはや成り立たない。自由な競争を促しつつも、国民の暮らしの豊かさに力点を置いた経済、社会へ転換させなければならない。
【経済・雇用危機の克服と安定した経済成長】
今国会に金融機関の中小企業への貸し渋り、貸しはがしを是正するための法案を提出する。子ども手当の創設、ガソリン税の暫定税率の廃止、高速道路の原則無料化など家計を直接応援することによって、国民が安心して暮らせる「人間のための経済」への転換を図っていく。
【「地域主権」改革の断行】
国と地方が対等に協議する場の法制化を実現しなければならない。戸別所得補償制度の創設を含めて農林漁業を立て直すとともに、郵便局ネットワークを地域の拠点として位置付けるなど、郵政事業の抜本的な見直しに取り組む。
【「架け橋」としての日本】
2020年に温室効果ガスを1990年比で25%削減するとの目標を掲げ、国際交渉を主導していく。途上国支援のための「鳩山イニシアチブ」を実行することで、先進国と途上国との「架け橋」の役割を積極的に果たす。オバマ大統領が打ち出した「核のない世界」という提案に深く共感し、強く支持する。
日本を取り巻く海が、友好と連帯の「実りの海」であり続けるための努力を続けることが大切だ。その基盤となるのは緊密かつ対等な日米同盟だ。対等とは、世界の平和と安全に果たせる役割や具体的な行動指針を、日本の側からも積極的に提言し、協力していけるような関係だ。グローバルな課題克服の面でも、日米が連携、協力し合う、重層的な日米同盟を深化させていきたい。在日米軍再編は、安全保障上の観点も踏まえつつ、過去の日米合意などの経緯も慎重に検証した上で、沖縄の方々が背負ってこられた負担に十分に思いをいたし、真剣に取り組む。
アフガニスタンには、農業支援、元兵士に対する職業訓練、警察機能の強化等の日本の得意とする分野や方法で積極的な支援を行っていく。インド洋における補給支援活動は、単純な延長は行わず、支援の大きな文脈の中で対処していく。
北朝鮮をめぐる問題は、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、その上で国交正常化を図るべく、関係国とも緊密に連携しつつ対処していく。
日露関係については、最大の懸案である北方領土問題を最終的に解決して平和条約を締結すべく精力的に取り組んでいく。
韓国、中国、東南アジアなどの近隣諸国とは、真の信頼関係を築き、協力を進めていく。他の地域に開かれた、透明性の高い協力体としての東アジア共同体構想を推進していきたい。
【むすび】
現在、鳩山内閣が取り組んでいることは、いわば「無血の平成維新」だ。国民とともに、本当の意味で歴史を変え、日本を飛躍へと導くために全力を尽くす。私たちの変革の挑戦に力を貸してほしい。
(2009/10/26-14:25)