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  • 2017.07.25 Tuesday
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捕鯨問題の現実とサムライ官僚のノスタルジー

2015年のWIREDの記事なのだが、日本の捕鯨問題のあまり知られいない側面を明らかにしているので訳してみた。
以下は記事の翻訳である。


「日本人は殆んど鯨を食べないにもかかわらず、なぜ捕鯨を続けるのか?」

第二次世界大戦後、日本経済は崩壊し、食糧は乏しく、特に肉が不足していました。
戦後の連合軍占領期に日本を支配したダグラス・マッカーサーは、日本人は海からタンパク質を得るべきだと決めました。
1946年、彼は2つの軍用タンカーを巨大捕鯨船に指定し、日本の商業捕鯨の新しい時代を導く助けとしたのです。
そして日本の戦後世代の子供たちは、学校給食で鯨肉を食べて成長したのです。

ああ、時代はなんと変わってしまったのか!

日本は今週、国際的な捕鯨禁止条約に反してミンククジラの捕鯨を再開した時、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、そして世界のほとんどの国の反対の立場にあることに気付きました。
国際捕鯨委員会は、1986年以来、商業捕鯨を禁止しており、例外として科学的調査のみが認められています。
日本はこの禁止措置に本心ではないにせよ従い、一年で殺す予定の333頭のクジラを純粋に研究の対象だと主張しています。

(一方でアイスランドとノルウェーは、禁止措置に反対し、科学を言い訳として使用せずに商業捕鯨を継続している)。

もしかするとあなたは、日本が捕鯨を正当化するための論拠として、もはや世界中で親しまれている日本料理と関連付け、鯨肉が非常に重要な食材なのだと結論づけるかも知れません。
が、それは間違いです。
小規模捕鯨は日本の一部地域では伝統でしたが、全国的な意味ではどちらかというと鯨肉は第二次大戦後によく食べられた食材です。
なので年配の日本人にとっての、懐かしい食べ物に過ぎない、と、日本研究教授で近代日本料理の著作「食べ物、力、ナショナル・アイデンティティー」の著者であるカタルツィナ・クワートカは言っています。

それ以外の日本人にとって、鯨肉は興味をそそられる以上のものではありません。
「私は子どもの頃に鯨の安い肉の恩恵を受けたの世代です。しかし、私の子供たちは、鯨肉を食べた経験はまったくありません。」と、農業学科の教授であり、「日本の食事変化とその影響」の共著者である小林和彦は言います。
「つまり、もはや鯨肉はかつての重要な食物としての地位になく、日本人の大多数にとってはせいぜい好奇心をそそる程度の食品に過ぎなくなったという事です。」

グリーンピースが第三者機関の日本リサーチセンターに依頼して実施した2006年の世論調査では、日本人の95%が鯨肉を食べることはめったにない、あるいは食べたことがないことが判明しています。
また、2002年から2012年の間に日本国内に冷凍保存している鯨肉の在庫は4,600トンに倍増しました。

日本の元捕鯨交渉担当者でもある小松正之さ氏は、捕鯨にかかわる仕事に就く以前には鯨肉を食べた事がなかった、と言いました。
「鯨肉の味を知らなかったので、無理にでも、と食べてみました。」と彼は言う。
「おいしかったですね。でも病みつきになったというほどでもないですね。」
その正之氏は、2007年まで農林水産省に勤務しており、その際国際捕鯨委員会のメンバーに対し「日本の決定に対し、誤った感情的な見解を押しつけている。」と非難しました。

では本当のところ、捕鯨禁止への抵抗の背後にあるのは何なのでしょうか?
他の動物を殺すことを禁止する前に捕鯨を禁止することは、論理的には少し矛盾していると言う日本側の主張もあります。
保護に関するものであるなら、日本食において鯨よりはるかに重要なクロマグロもまた絶滅危惧種ではない事はどう説明するのか、と。 (IWCはミンククジラ:日本の捕鯨対象になっている種、の個体数が最近数十年で減少している事を危惧しているが、ミンククジラは実際には絶滅の危機に瀕していると言うほどではない。)

また捕鯨が残酷であるという主張があるならば畜産も同様だ、と。
クジラが賢いという理由で捕鯨がダメなら、豚も賢くないとは言えない、とか。
ただ、鯨を食べる事であるとか、ましてや、捕鯨をする事によって、間引いて保護するという主張は、あまり納得させられるものではありません。

それに"クジラだけを救う"というのなら不合理かもしれませんが、実際にはパンダや北極熊、または他の愛すべき哺乳類も保護しているのです。
ただ、過激な行動はシンボルとなる出来事に便乗しようとします。
たとえば、鯨がグリーンピースのような環境団体にとってシンボルとなったのと同様に、それに対応して、日本人にとっては捕鯨が政治的シンボルとなっているのです。
「外国人による捕鯨への強い非難は、伝統的な価値観への非難ととられている。」と小林氏は言います。
日本政府は現在、捕鯨産業に年間5千万ドルものの助成金まで与えてまでいるのですから。

にもかかわらず政治的な意味での典型的な日本人の捕鯨への姿勢は自己矛盾に陥っており、食べ物としての鯨肉には無関心なままである、と小林氏は付け加えています。
なので結局日本が殺そうと計画している333頭についても、すでに以前の1,000頭の目標から大幅に減っているわけです。
また、クワートカは日本政府の高官たちのほとんどが、子供のころ鯨肉を食べて成長した年配の世代である事も指摘しています。
結局鯨肉食は、国際的な干渉があってもなくても、すでに衰退しているということです。

元記事(英文)


現在捕鯨問題は自然保護や経済の問題から大きく乖離して、あたかも民族、伝統に対する干渉として日本の右翼、右派政治家のアイコンと化している。
この文章はその現状を非常に冷静かつ的確に分析している。
特に鯨肉の食という立場においては日本人自体も95%が鯨肉を食べず、調査捕鯨においてストックした鯨肉も貯まる一方だという事実を、捕鯨産業自体も結局補助金で頼みで産業として成立していない現状が見える。

さらに「ザ・コーブ」やそれに対する反論映画の盛り上がりから愛国的アイコンと化した捕鯨問題の本質は、自己矛盾に満ちたものであるという事もわかる。

特に全国的にはあまり一般的ではなかった鯨肉食を広めたのはマッカーサーであったという事実を知っても捕鯨問題は愛国的アイコン足り得るのだろうか?
言葉を変えれば平和憲法とともに右派の大嫌いな「戦後レジーム」の一部という視点も成り立つだろう。

つまり捕鯨問題とは伝統文化とはあまり関係がなく、単にサムライ官僚の上層部や中枢にいる政治家達が戦後の「鯨肉食世代」に多いゆえに愛国的アイコンと化したに過ぎない事を立証しているだろう。


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